&nb...
データの活かしどころを具体化することの重要性 データ分析講座(その49)
◆ データ活用の成否に企業規模は関係ないが、成功確率に差がある理由
数年前に統計学やビッグデータというキーワードが注目され、今では機械学習やAI(人工知能)というキーワードが注目されています。ビジネスにデータを活用する!とうい本質は何も変わらず、どの面をクローズアップするのか、というだけでしょうか。営業やマーケティングなどの「人が介在するデータ活用」は、一部のIoT(モノのインターネット)のように機械だけで完結するものと異なり、人とデータとの関わり方や、人の動き方が重要になってきます。
厳密には、全く「人が介在しないデータ活用」はないと思いますが、営業やマーケティングの場合、「人がデータ活用に介在する度合」が比較的多くなることでしょう。特に、法人相手のBtoB企業であればなおさらです。そのような中、次のように分かれます。
- データ活用に取り組んでいる企業
- データ活用に取り組んでいない企業
さらに、データ活用に取り組んでいる企業の中で次のように分かれます。
- データ活用で成果をだしている企業
- データ活用で思うような成果を出していない企業
実は面白い統計があります。「データ活用の成否に企業規模は関係ないが、成功確率に差がある」という統計です。どういうことでしょうか?
1. データ活用の成否に企業規模は関係ない
データ活用と聞くと、多くの方は、「資金的に余裕のある大企業だからできること」と、勘違いしています。ある程度データ分析などに関わっている人であれば気が付くことに、「データ活用の成否に企業規模は関係ない」というのがあります。おそらく、この勘違いの原因は、以下の3つに集約されています。
- 大企業ほど、有益なデータを集めやすい
- 大企業ほど、優秀なデータ分析人財がいる
- 大企業ほど、整えたIT基盤がデータ活用をドライブしている
これらはすべて勘違いです。多くの場合、今社内にあるデータで十分ですし、大企業にも理想とするデータ人財はほとんどいませんし、IT投資に見合ったビジネス成果を得ている大企業は少ないです。以下は、ある中小企業のデータ活用状況の統計データです。
いかがでしょうか。資本規模に関係なく、データ活用の成功企業の割合は変わりません。要するに、データ活用の成否に企業規模は関係ないのです。この統計データから面白いことが分かります。
2. 企業規模が大きいほど、成功確率が低い
データ活用にチャレンジしている企業の割合は、資本規模が大きくなるほど増えます。しかし、全体のデータ活用の成功企業の割合は、資本規模に関係ありません。どういうことが、言えるでしょうか?ストレートにいうと、「企業規模が大きいほど、成功確率が低い」ことが言えます。これは、私の実感と合っています。資金的に余裕がある企業ほど、無駄なIT投資をして、その果実を夢見がちです。多くの場合、「見える化」という悪魔ワードとともに過剰なIT投資をし、思うような成果を得ていません。
3. 「見える化」という悪魔ワードがデータ活用を阻害する
IT投資の結果、「見える化」されます。しかし、多くの場合、ただ「見えた」だけでは何も起こりません。
例えば、CRMを導入した。営業パーソンの動きが見えただけ。入力工数とシステムのお守りための工数が増えただけ。このような企業も多いのではないでしょうか。中小企業よくあるのが、自社サイトの「見える化」。
Google アナリティクスなどのサイトのアクセス解析ツールは無料で使えます。Google アナリティクスのタグを自社サイトの中に張り付けておくだけでデータが収集され、データ分析をすることはできます。そして、自社サイトが「見える化」されます。どのくらい人が自社サイトに訪問し、どのページを見て、どのくらい滞在したのかが分かります。問題はその次に来ます。「で、どうする?」という問題です。「見える化」の先がないのです。
今に始まったことではありません。「見える化」という悪魔ワードが、データ活用を阻害してきた黒歴史は、私がデータ分析に関わった約20年前から変わりません。
4. 「見える化」より先にすべきこと
では、どうすればよいでしょうか? 答えは明白です。
「データの活用シーン」を描くこと。しかも、具体的に人の描写も含めて。だたこれだけで、劇的にデータ活用はよくなります。データ活用の上手くいっていない企業もしくは組織の多くは、「データの活かしどころ(輝く場所)」があいまいなケースが非常に多いです。「見える化」の先に、「データの活かしどころ(輝く場所)」を徹底的に考え抜き具体化します。そのために、さらなるIT投資をすることも、特別なデータも必要ありません。今社内にある「データの活かしどころ(輝く場所)」を徹底的に考え抜き具体化します。
「データの活かしどころ(輝く場所)」が見え、そのためのデータ活用の「スピード」や「質」などを上げるためにシステムやツールが必要ならば、そのためのIT投資をすればよいでしょう。多くの場合、さらなるIT投資をする前に、現状のシステムとデータと人財で、データ活用の成果を出すところから始めた方が良いです。そうしないと、どの工程のスピードを上げ、どの業務の質を上げ、どのような人財がいると助かるのかが、見えてきません。
マーケティングや営業であれば、基本現場に人か、現場と密接にコミュニケーション取れる方が望ましいです。間違っても、外部だけに頼ることが無いようにしたほうがいいです。
5. データの活かしどころを徹底的に考え抜き具体化すること
今回は、データ活用の成否に企業規模は関係ないのですが、成功確率に差がある理由について、お話しいたしました。簡単に要点をまとめますと次のようになります。
- データ活用の成否に企業規模は関係ない
- 企業規模が大きいほど、成功確率が低い
- 資金的に余裕がある企業ほど、無駄なIT投資をする
- 「見える化」という悪魔ワードが過剰なIT投資を誘発する
- 「見える化」より先にすべきことがある
「見える化」より先にすべきこととは、「データの活かしどころ(輝く場所)」を徹底的に考え抜き具体化するということです。しかも、具体的に人の描写(誰のどの作業に影響し、どのように変わりるのか、など)までします。だたこれだけで、劇的にデータ活用はよくなります。
もし、マーケティングや営業の分野で、データ活用が思うようにいっていない、もしくは、これから始めようという場合でしたら、先ずは、さらなるIT投資をする前に、現状の「IT環境」と、今社内にある「データ」と、「社内人財」だけで、データ活用の成果を出すところから始めた方が良いでしょう。「データの活かしどころ(輝く場所)」を徹底的に考え、今あなたの会社の中でくすぶっているデータに光が当てられることで、収益改善に活かされれば幸いです。
続きを読むには・・・
この連載の他の記事
現在記事
「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事
もっと見るスマート農業の目的、課題
農業従事者の高齢化・後継者不足、労働力不足など食料自給率の低下、耕作放棄地の増加などさまざまな問題を日本の農業は抱えています。一方、ス...
農業従事者の高齢化・後継者不足、労働力不足など食料自給率の低下、耕作放棄地の増加などさまざまな問題を日本の農業は抱えています。一方、ス...
データから未来とアクションを検討する データ分析講座(その139)
◆ データ分析:所詮データは、過去の一部分でしかない データ活用全般にいえることですが、データは「過去」の「ある事象」(例:受注や生産、購買など)...
◆ データ分析:所詮データは、過去の一部分でしかない データ活用全般にいえることですが、データは「過去」の「ある事象」(例:受注や生産、購買など)...
データ分析組織は、やっていることを金額換算 データ分析講座(その71)
◆ データ活用の火を消さないために、データ分析組織に求められること データ分析組織(データサイエンス専門の組織)を作ったのに、データ分析が根付かな...
◆ データ活用の火を消さないために、データ分析組織に求められること データ分析組織(データサイエンス専門の組織)を作ったのに、データ分析が根付かな...
「情報マネジメント一般」の活用事例
もっと見る‐販路開拓に関する問題事例‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その19)
前回の事例その18に続いて解説します。多額の資金と労力を費やして開発した知的財産をどのように活用して販路開拓に結びつけるのか、大変重要な問題ですが、販売...
前回の事例その18に続いて解説します。多額の資金と労力を費やして開発した知的財産をどのように活用して販路開拓に結びつけるのか、大変重要な問題ですが、販売...
ソフトウェア特許とは(その2)
4.ソフトウェア特許のとり方 前回のその1に続いて解説します。 ソフトウェア特許の取得方法にはノウハウがあります。特許のことを知らない...
4.ソフトウェア特許のとり方 前回のその1に続いて解説します。 ソフトウェア特許の取得方法にはノウハウがあります。特許のことを知らない...
たかがWord、されどWord
マイクロソフトOfficeはどこでも使われているので、ITリテラシーとしてWordを使えることが求められます。『 Wordが使える 』と言っても、そのレ...
マイクロソフトOfficeはどこでも使われているので、ITリテラシーとしてWordを使えることが求められます。『 Wordが使える 』と言っても、そのレ...




