データサイエンス波及の5つのポイント データ分析講座(その122)
◆ データサイエンス、小さく始め大きく波及
データサイエンス・ 機械学習・ AIと、夢を大きく持つことはいいことですが、足下無視で進めることはできません。足下無視の結果、体力のある企業がすることの多くが、IT投資と人財育成や登用です。モノとヒトでどうにかなるかといえば、実はどうにもならないのです。適切なテーマ設定とアプローチが非常に重要になってきます。どのテーマが花開くのか分からないので、それを見越したアプローチが必要になります。今回は「データサイエンスを大きく波及させる5つのポイント」というお話しをします。
1、できるだけコンパクトに
データサイエンスを実践する上で上手く進みやすいのは、できるだけコンパクトに始めることです。例えば、自部署+関連部署が1つ2つだけ、といったコンパクトさです。小さく始めることのメリットは、軌道修正が簡単、失敗の影響も小さい、何度でもチャレンジできる…などです。そして、関わった人に自信と実績を、早い段階で与えてくれます。何よりも、小さくても実績は実績です。社内政治力のある人が、エライ人や関連部署などの理解や協力を得るのに、この実績が使え、大きく波及する手助けになります。
2、3つの軸
小さく始める時、大きく以下の3つの軸で考え波及させるとよいでしょう。
- 軸1(テーマの大きさ):テーマ設定を小さくする(例:ある限定されたテーマ)
- 軸2(影響範囲):影響範囲を小さくする(例:数人レベル)
- 軸3(データサイエンス力):簡単なデータサイエンス技術だけで始める(例:昔からある簡単な分析手法)
最初からホームランを狙うのも良くありません。狙ってもいいですが成功率は低くなりますし、大きな成果を生むかどうかは、やっていなくては分かりません。野球で例えるなら、ホームランを打つパワーヒッターではなく、こつこつヒットを打つアベレージヒッターのイメージです。地道にヒットを重ねていれば、その内のいくつかはホームランになります。小さく始めたデータサイエンスのテーマのポテンシャルが見えてきます。小さく始め、大きく波及させるテーマの取捨選択することが可能となります。
3、5つのポイント
小さく始める時のポイントを紹介します。迷った際、以下の5つの視点で考えてみてください。
- ポイント1:汎用よりも限定
- ポイント2:変革よりも改善
- ポイント3:高尚よりも経験
- ポイント4:予測よりも解釈
- ポイント5:発見よりも確認
(1) ポイント1:汎用よりも限定
テーマ設定を小さくしたり(例:ある限定されたテーマ)、影響範囲を小さくしたり(例:数人レベル)と、汎用性が低く用途が限られているデータサイエンスにチャレンジするということです。このとき、汎用性が高まる(大きく波及できる)ことを念頭に置きます。
(2) ポイント2:変革よりも改善
テーマ設定をする時、現状否定から始まる変革よりも、現状肯定による改善の方を選ぶ、ということです。人が関与するテーマほど、改善の道を選びます。理由は人の理解が得られやすく、ポイントが絞られ、成果が出やすいからです。改善で成果を出した後、この成果を変革の旗印にすれば十分です。
(3) ポイント3:高尚よりも経験
最新の分析手法や難解な数理モデルなどを無理して使うよりも、簡単にすぐ成果の出やすいデータサイエンスに取り組み、経験を積みましょう、ということです。成果が大きく簡単なテーマを差し置いて、不思議なぐらい「成果が大きいけど難しいテーマ」に取り組む人が多い印象があります。
(4) ポイント4:予測よりも解釈
予測モデルを構築し未来を語らせる前に、現状をしっかり押さえるデータ分析をしましょう。現状をしっかり押さえるデータ分析とは、過去から現在までの傾向をデータで解釈しましょう、ということです。未来予測に比べ、現状解釈の方がはるかに簡単ですし、今まで何となく感じていたことをデータで裏付けする部分が大きく、理解を得られやすいわけです。
(5) ポイント5:発見よりも確認
現状解釈のためのデータ分析をする時、思い描けない発見よりも知っていることを確認するためのデータ分析をしましょう、ということです。社内の「何となくこうだろう」をデータで裏付け、数字でズバッと示していくイメージです。例えば「営業の訪問回数が多いほど受注率が高まる」という現場の「何となくこうだろう」に対しデータを使いその傾向をグラフ化し、さらに最適な訪問回数は8回だ、ということを示すというアプローチです。
続きを読むには・・・
この連載の他の記事
現在記事
「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事
もっと見るPDCAサイクルとOODAループ データ分析講座(その27)
◆ データ活用の現場を躍動させるOODAループ 営業やマーケティングなどでデータ活用をするとき、PDCA(Plan-Do-Check-Act、計画...
◆ データ活用の現場を躍動させるOODAループ 営業やマーケティングなどでデータ活用をするとき、PDCA(Plan-Do-Check-Act、計画...
ナレッジシェアの実現 データ分析講座(その93)
◆ データ分析の属人化を阻止した「データ分析プロジェクトの軌跡の見える化」 前回「データ活用が上手くいったけど、次に大きな壁があった! データ分析...
◆ データ分析の属人化を阻止した「データ分析プロジェクトの軌跡の見える化」 前回「データ活用が上手くいったけど、次に大きな壁があった! データ分析...
データから未来とアクションを検討する データ分析講座(その139)
◆ データ分析:所詮データは、過去の一部分でしかない データ活用全般にいえることですが、データは「過去」の「ある事象」(例:受注や生産、購買など)...
◆ データ分析:所詮データは、過去の一部分でしかない データ活用全般にいえることですが、データは「過去」の「ある事象」(例:受注や生産、購買など)...
「情報マネジメント一般」の活用事例
もっと見るP値で行う統計リテラシー判定
「ピーチ」って聞いたら何を連想しますか、統計を学んでいる人に取っては「 P値 」が思い浮かぶはずです。統計学の素養がある程度備わっているか一言で知ろうと...
「ピーチ」って聞いたら何を連想しますか、統計を学んでいる人に取っては「 P値 」が思い浮かぶはずです。統計学の素養がある程度備わっているか一言で知ろうと...
‐社内の問題克服による開発活動‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その14)
前回の事例その13に続いて解説します。社内における様々な問題を高いレベルで深く追及して解決することが、競争力のある技術を育成し、売れる製品を生み出す事に...
前回の事例その13に続いて解説します。社内における様々な問題を高いレベルで深く追及して解決することが、競争力のある技術を育成し、売れる製品を生み出す事に...
‐情報収集で配慮すべき事項(第3回)‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その11)
前回の事例その10に続いて解説します。ある目的で情報収集を開始する時には、始めに開発方針を明らかにして、目的意識を持って行動する必要があります。目的を明...
前回の事例その10に続いて解説します。ある目的で情報収集を開始する時には、始めに開発方針を明らかにして、目的意識を持って行動する必要があります。目的を明...



