研究開発で行うBCPとは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その66)
1. 企業におけるBCP
2020年3月11日、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染爆発)宣言をしました。
同年2月28日に安倍総理大臣が、小中高の臨時休校を発表した頃から日が経つに連れ、パンデミックは「このままでは、現実になるだろうな」という感覚を抱くようになりました。
クライアント企業からも外出ができなくなってしまった、会議がつぶれてしまったなど企業活動の一部が止まっていることを耳にします。
前回のパンデミック宣言は2009年の新型インフルエンザでしたがこの時、多くの企業ではBCP(Business Continuity Plan)として、災害などの緊急事態が発生した時に企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画を作成しました。
同年のケースでは、日本政府からは「従業員の40%(ピーク時)が出社できないと想定される」との発表がありましたが、あなたの会社ではBCPにのっとり、業務活動に適応していますか?
2. テレワーク業務の見直し
2020年3月現在、新型コロナウィルス問題がこの先どうなっていくのか分かりませんが、仮にBCP:2009年版を使い続けているのであれば、BCPの見直し改訂が必要です。
例えば2009年時と比べ、スマートフォンやタブレットで行うことができる業務が格段に増えているのではないでしょうか。また遠隔会議システムもZOOMなど簡単で操作・遅れがほとんどないウェビナーも普及しています。
行動指針を変えるというよりは今現在、新たな技術・ツールを使用したテレワーク業務の幅が広がってきているのかもしれません。
特に機密事項に関わらない情報のやり取りは、簡単で早く確実に連絡が取れれば良いですし、機密事項のやり取りについては会社のネットワークに入り進めるなど安全に行うことが求められるでしょう。機密レベルに応じたコミュニケーションツールや方法のルールは全社として統一されるはずです。
3. 研究開発業務で行うBCP活動
新型コロナウィルスが今後どう終息するかは分かりませんが、日頃からR&D組織でどんな対策を打っておけば良いか紹介します。
まず社員の60%で全社事業を回す際に、経営層は優先度の高い事業に人員を注力させます。ということは必ずしも限定した期間において引き続きR&D業務を行うとは限らないのです。そこまでイレギュラーな人事を決定せずとも、あなたのR&Dテーマを止め、同僚のR&Dテーマにアサインされる可能性は低くはないはずです。また逆も然り、企業の優先度に応じてあなたのR&Dテーマに別のメンバーが入ることもあります。
では、普段からどのような活動を業務に含めることで混乱を避けられるのかを考えてみましょう。
- (1) 業務マニュアル(ルール):いつでも誰でも閲覧できる
- (2) 業務内容(目標・目的・現在の結果):共有する機会・技術レポート・実験結果を回覧
- (3) チーム内ペア:同じ業務を同レベルで理解しあえるエンジニアのペアを作る
いかがでしょうか?
(1)(2)は、他の組織からの支援を受ける時に必要です。前情報があればがサポートメンバーが早く業務に取りかかることができます。
私はこんな経験をしたことがあります。ある新規事業の設計開発支援において、この前情報が古く2~3年前の情報で止まっていたことがあります。当然、最新状況を理解するために、残っているメンバー一人ひとりにヒアリングしたのですが、あるコア技術を開発していたメンバーが会社を辞め、誰にも引き継げていない技術もあるという情報が混乱した状態でした。
このままでは良くありませんのでまず工数を割いてでも文書化することを推進しました。もしかするとあなたの会社も同じような状況があるやもしれません。まずは確認し対策を考えましょう。
(3)は同じR&Dテーマのチーム内で通常業務として行います。業務内容や目標、現状を理解しているメンバーですので、その内の一人が出社できなくなったとしてももう一人のメンバーが引き続き開発をすることができるからです。
お互いが困った時にサポートし合うことで人間関係の向上にもつながり、また開発を切磋琢磨することで技術スキルも格段に上がることからオススメしています。今後もいつ起きるか分からない、非常時に安心して業務を行える環境はトップダウンだけではなく、ボトムアップでも構築することができます。あなたの組織・チームでは何ができるか、考えてみましょう。
続きを読むには・・・
この連載の他の記事
現在記事
「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事
もっと見るプロフェッショナルな技術者とは【連載記事紹介】セミナーのご紹介
プロフェッショナルな技術者の連載記事が無料でお読みいただけます! ◆スーパーマンではなくプロフェッシ...
プロフェッショナルな技術者の連載記事が無料でお読みいただけます! ◆スーパーマンではなくプロフェッシ...
続 Painのインパクト 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その89)
今回も引き続き、エドワード・デシが内発的動機付けに必要と主張している2つの要素、「自律性」と「有能感」の内、後者の実現手段として「有...
今回も引き続き、エドワード・デシが内発的動機付けに必要と主張している2つの要素、「自律性」と「有能感」の内、後者の実現手段として「有...
開発生産性向上施策 開発生産性向上(その3)
【開発生産性向上 連載目次】 1. 生産性向上の必要性 2. ビジネスの質的変化への対応 3. 開発生産性向上施策 4. 改善活動のポイント ...
【開発生産性向上 連載目次】 1. 生産性向上の必要性 2. ビジネスの質的変化への対応 3. 開発生産性向上施策 4. 改善活動のポイント ...
「技術マネジメント総合」の活用事例
もっと見るハイヒール型プルタブオープナー 異分野市場での事業化事例 (その1)
「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...
「部品技術の見える化」で、B2Bの部品からB2Cの完成品事業に成功したクライアントの事例を紹介します。A社は、金属加工の部品メーカーであり、田植え機、AT...
顧客価値の理解を深めるには
私は、日ごろ、ものづくり企業のR&D現場をフィールドとしたコンサルティングに取り組んでいます。その中で、価値、とりわけ顧客価値は、R&D...
私は、日ごろ、ものづくり企業のR&D現場をフィールドとしたコンサルティングに取り組んでいます。その中で、価値、とりわけ顧客価値は、R&D...
設計工程の進捗管理とは
今回は、設計の進捗管理の方法についてみていきます。設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見をお聞きします。その理...
今回は、設計の進捗管理の方法についてみていきます。設計の進捗管理は、どの企業においても難しいという意見をお聞きします。その理...






