恐れずに目標設定をするための仕組みとは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その60)

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技術マネジメント

◆ 不明確な状況であってもゴールを設定する

1. 不明確はデフォルト

 先日コンサルティング現場で次のような事例を目にすることがありました。

 それは、今後の社運を賭ける新規事業の方針を決めるミッションを与えられ、組織目標を立てる場面です。このミッションのリーダーAさんは、既存事業の専門知識が豊富で経営陣からの評価が高い人物です。そのため経営陣はAさんを次期経営陣として育成の意味をこめ、このミッションをオファーしたという背景がありました。

 これまでAさんは既存事業を中心に業務を行っていたため、目標は達成して当たり前、失敗は許されないという考えを持っていました。しかし、新規事業の方針を決めるとことは、手探りで模索しながら行う不明確・不透明な作業です。

 この時のAさんは状況が不明確であることを理由にゴール(新規事業の目標設定)を決めることをしませんでした。

 正確にはD:納期とQ:品質の一部を決めたのですが、根拠を問われると回答できないと、目標を部下に伝えることを極端に避けてしまいました。このまま検討をスタートしたので、途中でゴールそのものが幾度か変わり、部下が不満を持つといった状況まで発展していました。

 この時点で当社が参加した訳ですが、このままではAさん、Aさんの部下共々かけてきたリソースが無駄となってしまいます。そこで新規事業の開発(技術開発、製品開発、市場マーケティング)は不明確、軌道修正の繰り返しがデフォルトということを理解し、改善するよう働きかけ、最終的には経営陣も納得できる新規事業の方針を決めることができました。

2. 先が不明確であっても目標設定は必要

 いうまでもなく新規事業や既存事業における新しい価値創出を目指す商品の開発は、すぐさま絶対に売れるという確証はありません。既存顧客に既存商品・改良商品を売るのとは売り上げ予測の精度は低いのが当然です。しかし、既存事業に比べ予測精度も達成見込みも低いからといって目標をあいまいにすることはお勧めしません。これには主に3つの理由があります。

(1) 到達したくない着地点に向かう

 これは非常に望まない結果ですが、本来の将来ありたい姿とは全く違うゴールに向かう可能性があるという理由です。目標を決めないで進むということは、社会環境や技術トレンドなどのニュースや調査会社のレポートなどを元に進む方向を都度変えることを許容することにつながります。最悪のケースでは、いつの間にか意図したターゲットやポジショニングなど正反対のベクトルで事業戦略を立ててしまうといった事例につながります。

(2) ゴール到達時間の長期化

 ゴールそのものは変わらないが、目標値を出来高でOKとしたり、誰が見ても簡単にできるレベルにしてしまうことでゴールへの到達期間が長期化する可能性が高いという理由です。開発の長期化は、市場投入タイミングを逃すことに繋がり高リスク材料となります。

(3) 信頼が落ちる(部下がついてこないなど)

 本来のミッションとは直接関係しないかもしれませんが、企業活動は一人で行うものではありません。目標がコロコロ変わる上司と例え目標達成に失敗しても改善策を考え、新たな目標を設定し再挑戦する上司とどちらが信頼されうる人物であるかということです。チームで業務を進める上で、上司・部下関係なく信頼関係を持ち、強みを出し合い進めることが大切です。

3. 恐れず目標設定をするための仕組み

 もしかすると既存事業商品を中心に従事されている方にはピンとこないかもしれませんが、冒頭の事例は何も特殊ではありません。

 多かれ少なかれ既存事業が順調、主軸である企業では目にする機会が多くあります。成功すること、目標を達成することが当たり前の文化になっている企業は特に注意が必要です。もしそのような風土・文化であると認識している場合は、評価軸の改善が必要でしょう。

 評価制度の仕組みを新規事業開発は既存事業と同じ扱いにせず、成果とプロセス(目標設定→実行→FB・改善→目標再設定など)を新たに設定し、目標設定を行うことそのものを恐れずに行うことができる仕組みです。

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