中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その46)
前回のその45に続いて解説します。
【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方
【3.12 中国要因事例】
(2) Machine(機械、設備)
機械については、機械の調子が悪いとかチョコ停が多い事などが原因で生産に悪影響を与えている現象があります。その要因を見ていくと、機械のメンテナンスをしていない事が要因で起きているケースがあります。さらに「メンテナンスを行わないのはなぜか?」で見ていくと、中国工場ではメンテナンスの重要性を理解していなかったり、機械のメンテナンス自体がコスト削減の対象となり整備が行われなかったなどのケースがありました。
これは、ある日系中国工場での事なのですが、使用していた油圧機械のオイルの定期交換が、コスト管理を担当していた中国人経理の指示で実施されていないことがありました。この中国人経理は、油圧機械に特に問題が起きていなかったので、コストのかかるオイル交換を止めてしまっていたのです。日本人駐在員はそんな細かい事まではチェックしていなかったので、全く気付いていませんでした。日系工場でも、このような事が起きるので決して他人事ではありません。
(3)MateriaL(材料・部品)
材料・部品については顧客の了解を取らずに勝手に変更してしまうという事が中国工場では起こります。日系企業では考えられない事です。その要因を見ていくと「仕様の取り交わしに不備があった」、「生産で使う時にその部材がなかった」などがあります。
これをさらに探っていくと、購買担当者が発注を忘れたとか、取引先の納期遅れで部材が入っていないなどの原因がありました。またその部材ではコストが合わなかったケースもありました。当初の見積もりでは問題なかったのですが、実際に生産をしてみると予定していた部材ではコストが合わないことが分かり、別の安い部材に勝手に変えてしまったということです。
(4)Method(方法)
方法では、作業手順書を守らないという現象があります。このケースでの要因は次の2点です。
- 手順書の存在を知らない
- 手順書に無理がある
作業者は手順書通りに進めるつもりはあるのですが、手順書の作業方法に無理があり、その通りに実行することができないヶ-スです。これは、手順書を専門に作成するスタッフを置いていてもそのスタッフが現場のことをよく分かっていない場合に起きます。
- 守る意志がない
こうなってしまった場合は、どうしようもありません。残念ながら退場してもらうしかないでしょう。
(5)Measurement(測定・検査)
検査・測定では、中国工場では検査基準が知らないうちに甘くなるという現象が起きます。この要因を見ていくと、
- 継続して生産している製品ではなく、単発で生産している製品で起きる
- 不良率が高い(=不良品として取り除く数が多い)場合に起きる
要するに不良数が多いので、このまま検査を続けていくと出荷数量に足りなくなることが検査員にも分かるのです。そうすると出荷数量を確保するために検査基準を甘くし、合格品を増やし数合わせしてしまうという現象が起きるのです。
ほかにも、出荷検査では必ず合格なのに出荷品に相当数の不良品が入っているという事態がありました。これを見ていくと、出荷検査が抜取検査の場合、検査員はランダムに抜き取って検査を行うのが通常です。しかしある中国工場では、出荷検査では出荷検査用の製品を用意して、検査員に検査させていました。敢えて用意したものですから、必ず合格になる製品であったことはいうまでもありません。そして、形の上では合格品(合格ロット)として出荷していたのです。
ここで取り上げた中国要因は、ごく一部にすぎません。これ以外にも要因は多くありますので、しっかり捉えてください。
次回は、3.13 顧客工場監査を利用する。から解説を続けます。
【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載
続きを読むには・・・
この連載の他の記事
現在記事
「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事
もっと見る中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その24)
【第2章 中国工場の実状を知る】 【部品・材料】 前回のその23に続いて解説します。 ◆ 対応策(1) 品質改善(言い続け、要求し続けること)...
【第2章 中国工場の実状を知る】 【部品・材料】 前回のその23に続いて解説します。 ◆ 対応策(1) 品質改善(言い続け、要求し続けること)...
生産性向上の急所 儲かるメーカー改善の急所101項(その56)
5、設備改善の基本 ◆ 生産性向上の急所 工場で改善をする時、目の前にある工程の改善に集中することはもちろん大切なことです。しかし、もう一つ大切...
5、設備改善の基本 ◆ 生産性向上の急所 工場で改善をする時、目の前にある工程の改善に集中することはもちろん大切なことです。しかし、もう一つ大切...
電子デバイス製造工程設計の留意点
1. 製造現場の自工程完結に求められる条件 新製品を競合に先んじて市場に出荷するための重要要素の一つに、量産の垂直立ち上げがあります。しかし稀に、量産...
1. 製造現場の自工程完結に求められる条件 新製品を競合に先んじて市場に出荷するための重要要素の一つに、量産の垂直立ち上げがあります。しかし稀に、量産...
「生産マネジメント総合」の活用事例
もっと見るトヨタ生産方式も先ずは2Sから 中国企業の壁(その27)
以前弊社で元トヨタマンの青木幹晴先生を講師として「トヨタ生産方式による工場生産性改善と中国工場への展開事例」セミナーを開催したことが...
以前弊社で元トヨタマンの青木幹晴先生を講師として「トヨタ生産方式による工場生産性改善と中国工場への展開事例」セミナーを開催したことが...
ITシステムの高度化 伸びる金型メーカーの秘訣 (その30)
今回紹介する機械加工メーカーは、富山県にある株式会社Tです。同社は、総従業員数1200名を超え、国内7社・海外4社からなるT科学グループの機械加工部門と...
今回紹介する機械加工メーカーは、富山県にある株式会社Tです。同社は、総従業員数1200名を超え、国内7社・海外4社からなるT科学グループの機械加工部門と...
工場での色管理・その他の注意点 中国企業の壁(その43)
工場の識別表示の手段として色を使うこと。色の持っている意味を信号を例として説明すると理解が深まるというこれまでの連載記事に対して、読...
工場の識別表示の手段として色を使うこと。色の持っている意味を信号を例として説明すると理解が深まるというこれまでの連載記事に対して、読...






