MTシステム超入門(その8)
31.MTシステムの計算時間
JAXAによるイプシロンロケット診断では、18,000項目を1秒で計算処理します。パソコンを利用してこの処理時間ですから、MTシステムがいかに高速計算しているかが分かります。M距離の計算だけではなく、距離が大きくなりかけたときの診断時間が短いのも、MTシステムの特徴です。 以前紹介した画像検査も、同じように高速で処理が行われます。
32.月のウサギ
写真は私が撮影した「スーパームーン」ですが、ここに「もちつきをするウサギ」が見えます。昔の日本人は月の模様からウサギに似ていると思ったのですね。数多い身近な動物などのうち、「ウサギ」を想像した昔の日本人に愛着を感じます。 あるパターンから何を想像するかは、その人が持っている経験や知識が基になっていることが分かります。
33.M博士とT先生
これまでM博士とT先生と表現してきました。M博士とはMahalanobis博士(1893~1972)で、インド統計研究所を設立した方です。T先生とは田口玄一博士(1924~2012)で、日本のものづくりレベルを世界的なレベルに育てた立役者のお一人です。田口先生はアメリカでも活躍され、1997年には全米自動車殿堂入りを果たされました。豊田英二、本田宗一郎に次いで日本人として三人目のことです。
M博士は1954年に当時30歳だったT先生をインド統計研究所に招きました。インド独立運動の父で初代首相だったネールに引き合わせるなど、若いT先生への敬愛は相当のものだったようです。当然、M博士の数理的考えも伝え、議論していたはずです。T先生は間違いなくM博士に尊敬・畏敬の念を持っていたでしょう。 T先生は、1970年代に入ってからM博士が提案した数理の活用方法に取り組まれました。1972年にM博士が他界していますので、そのことが契機だったかもしれません。
34.MT研究のスタート
1980年代の中ごろ、T先生は東京逓信病院内科部長だった兼高達貳博士と共同で、健康診断の問題にM博士の数理を適用して、画期的成果をあげました。 そこでは8人の医師が協議して健康な人を選定しました。その数200人です。この人々こそが「一様」な集団です。 そして、別途の受診者136人のM距離を計算したのです。結果は専門医の診断と実に見事に一致し、非健康な人のどの検査値のバランスが崩れているかも明らかになりました。 T先生はその後、学会誌上で考え方や数理を紹介しました。1995年頃のことで、健康診断の研究以降の新しいアイディアも盛り込まれていました。その際に、M距離を利用した新しいパターン認識の考え方をMahalanobis-Taguchi Systemと命名しました。
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