出来高制給与と労災事故 中国企業の壁(その38)

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  生産マネジメント
 
 今回は、ある中国企業の工場で起こった労災事故について書きたいと思います。その工場では、鉄の加工製品を生産しており、プレスによる穴あけや曲げ加工を数多く行っていました。
 
 また、給料は出来高制を採っているので、作業者はみな少しでも数を上げたいと思っています。出来高制を取ることで、生産性を確保するという狙いがあり、中国企業の多くの工場で採用されているのが実状です。
 
 会社の狙い通り、作業者は少しでも早く、多く生産(加工)しようとします。そのために作業者が工夫をして、作業をやり易くすることで出来高を増やすことも見られました。ちょっとした工夫をすることはよいのですが、それが行き過ぎたのが今回の事例です。
 
 作業者がプレスの加工方法を勝手に変えてしまい、その結果、手に大けがをするという労災事故が発生してしまったのです。
 
 通常のプレス作業では、必ず両手スイッチにしています。また、センサーを取り付けて、手がプレスの稼働域にある場合、作動しないようにするなどして安全を確保しています。
 
 この工場でも当然こうした安全のための機構は、備えていました。ただし、長尺ものの穴あけ加工をすることもあり、その場合は製品を両手で支える必要があるため手でスイッチを押せないので、両手スイッチではなくフットスイッチを使用していました。長尺ものなので、手がプレスの稼働域に入ることはないので大丈夫でした。
 
 事故を起こした作業者が担当した作業は、長尺ものではなかったので、製品を手で金型にセットします。当然、両手スイッチであり、センサーも作動させています。
 
 ところがこの作業者は、少しでも早くと考えたのか両手スイッチからフットスイッチに勝手に切り替えてしまいました。金型に製品をセットしたら手を離して足でスイッチを押す作業にしたのです。さらには、手が金型近くにあってもプレスできるようにセンサーのスイッチも切ってしまったのです。
 
 想像しただけでも怖い状況です。案の定、金型から手を離すタイミングと足でスイッチを押すタイミングがずれて、手を挟んで大怪我をしてしまいました。今回は、事故が起きた状況説明だけになりましたが、次回、事故が起きた要因と対策について、考えてみたいと思います。みなさん信じられないとお思いでしょう。しかし、現実の話なのです。信じられないことが起きるのが中国工場です。もう一度、安全点検をしてみてはいかがですか。
 
 次回に続きます。
 

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