サプライチェーンのリードタイム別ビジネスモデル

更新日

投稿日

 モノの流れ...

 モノの流れを扱うサプライチェーンにおいて、鉄鋼業のような付加価値の高い素材型産業、自動車のような総合組立型機械産業、複写機やコンピュータのような電器セットメーカー、そして卸や小売業などのようにわけてみると、在庫時間の視点からビジネスモデルをパターン化できます。そのうえで同じ業種に属している、すなわち同じパターン上であれば、サプライチェーンのリードタイムを見ることで経営のスピードを判断することができます。経営スピードとは企業の収益性を左右する重要な要因なのです。 

 多様な業種に属する代表的企業の在庫時間を有価証券報告書に記載された決算書から推定してみましょう。考え方は、金額で換算された在庫残高をスピードで割り、時間を出すことです。資材投入速度(材料投入費)で資材在庫を割ると、「資材在庫日数」が算出できます。製造速度(製造原価)で仕掛在庫を割ると「仕掛在庫日数」が、出荷速度(売上原価)で製品在庫をわると「製品在庫日数」が算出されることになります。 

 ここで、資材投入速度が資材投入費であり、製造速度が製造原価であり、出荷速度が売上原価であることを少し説明しましょう。会計の仕組みは良く出来ているのですが、サプライチェーンマネジメントの視点で時間が早く回る時代には、新たな解釈が必要になります。すなわち決算書は年間の利益スピードの記述書だということです。時速や分速で速度を表わす今の時代に、年速でとらえた平均値はピンと来ません。日本の多くの企業は3月31日を会計年度末にし、在庫は3月31日の夜12時時点での瞬間値の資産評価となります。資産が連続的に変動するように売上計上する日々の出荷速度(時間当りの出荷金額)も変動します。生産速度も資材投入速度も同様です。そして決算書は、365日の年間の累積なのです。したがって出荷速度も生産速度も資材投入速度も年速で記述されてしまいます。したがって年速で割った時間の単位を年から日に換算するには、365日をかける必要があるのです。 

 代表的企業の棚卸在庫日数を、上のように算出して比較してみたことがあります。トヨタ自動車や日産の超スピード経営、武田薬品や第一製薬の高付加価値低速経営、住友金属や日本鋼管などの長いリードタイム経営など、業種別にビジネスモデルの特徴が現れていることが明らかになり、興味深いものがありました。

 

   続きを読むには・・・


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
最先端のSCMテーマ、S&OP SCM最前線 (その7)

 前回のその6に続いて解説します。   4. 事業目標管理におけるS&OPの対象領域    これまで、S&OP...

 前回のその6に続いて解説します。   4. 事業目標管理におけるS&OPの対象領域    これまで、S&OP...


SCMはなぜ難しい サプライチェーンマネジメントによる全体最適化(その1)

  【サプライチェーンマネジメントによる全体最適化 連載記事目次】 1. SCMはなぜ難しい 2. SCM戦略とは 3. 変動メカニズム...

  【サプライチェーンマネジメントによる全体最適化 連載記事目次】 1. SCMはなぜ難しい 2. SCM戦略とは 3. 変動メカニズム...


面積原価(その2)

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流とタイミング

  1. 調達部品と先行時間  ジャスト・イン・タイムという手法は今や常識となりつつあります。ちょうど間に合うタイミングのことを指します。これを「...

  1. 調達部品と先行時間  ジャスト・イン・タイムという手法は今や常識となりつつあります。ちょうど間に合うタイミングのことを指します。これを「...


BCPの基本方針 物流BCPについて考える(その8)

         【物流BCPについて考える 連載目次】 1. 事業継続を脅かすリスク ...

         【物流BCPについて考える 連載目次】 1. 事業継続を脅かすリスク ...


物流効率化に使える手法 物流会社が取り組むべき管理技術(その3)

◆ QCへの取り組み  物流現場の管理ボードに掲示する書類にはグラフや表を活用し、一目で見て「良いか悪いか」がすぐ分かるようにしましょう。目標と実績...

◆ QCへの取り組み  物流現場の管理ボードに掲示する書類にはグラフや表を活用し、一目で見て「良いか悪いか」がすぐ分かるようにしましょう。目標と実績...