開発工程におけるQFDの役割 QFDを考える(その6)

投稿日

...

1.製品開発とQFD 

 現在の製品開発活動の中で大きな課題は「コミュニケーション」と「モチベーション」の不足といわれています。QFD(品質機能展開)は新製品開発の品質保証を源流から行うために、企画・開発、製造、営業、そして品質保証のメンバーがチーム一体で進めていきます。したがって1つの表を中心に、部署をまたいだ意思疎通が可能になります。90年代までのQFD盛況期には、現在のようなITツールがありませんでした。マトリックスを書くのも、ほとんどの企業が模造紙に手書きでした。開発チームのメンバーが、ワイワイガヤガヤと意見を交わしながら表を熟成させていったのです。これこそ現在不足している「コミュニケーション」ではなかったでしょうか。

 また、それぞれの専門分野で意見を交わし、議論し、開発製品や技術についての理解を深めていく。これこそメンバーひとりひとりの「モチベーション」を、暗黙のうちに高めていたのです。 現在の開発では、部署をまたいでのワイガヤや技術に対しての議論が非常に少ないように見受けられます。ITを活用した上で、迅速な議論を行うことはけっして不可能ではないはずです。さらには、その過程を含めた結論を技術情報として蓄積していくことが、このスピード時代には必要不可欠に思えます。

 現に最近のQFD事例として、バイオマス発電用のチェーン開発(日立機材(株))に重要な役割を果たしたり、人間ドックでのサービス改善(ひたちなか総合病院)に用いられたりしています。
 

QFDによる製品開発2.「機能展開」と「機構展開」 

 問題解決を行なう時に、問題を「現状」と「理想」のギャップと定義するのが一般的です。ITの分野、特に要求開発では「As Is」を現状の業務やシステム、「To Be」を次期の業務やシステム、あるいは理想とする業務やシステムと定義しています。QFDにおいてそれと同じように解釈すると、モノづくりの関係者にスムーズに理解してもらえる例があります。それは「機能展開」と「機構展開」です。 

 「機能展開」は本来の製品が備えていなければならない働きについてまとめた表、つまり「あるべき姿(機能)」の表です。それに対して「機構展開」は現状の技術力で実現した、または実現しようとする機能に、ふさわしい名称をつけてまとめた「現状で可能な範囲の姿(機構)」の表です。つまりQFDにおける機能と機構のマトリックスは、問題解決やAsIs-ToBeの分析と変わりがないのです。 

 製品開発において「あるべき姿」を追求することは、理想的な機能を実現させることにほかなりません。さらに、その理想的な機能を製品に作り込むことのできる“技術”を構築しなければなりません。そのためには、目的とする機能を最大限に発揮できるような技術的なパラメーターの絞り込みが必要です。したがってQFDは、“マーケットの要求”と“製品の特性”への関連付けからスタートし、“製品の機能”、“製品の機構”そして“設計パラメータ”へと展開していきます。

 “設計パラメーター”へ展開された後は、技術を構築するための最適な手法と言われるタグチメソッド(品質工学)へバトンタッチすることになります。

QFD

● 國枝先生のQFD入門セミナーDVDを販売しています⇒

   続きを読むには・・・


「品質機能展開(品質表)」の他のキーワード解説記事

もっと見る
QFDとは QFD(品質機能展開)の勘どころ (その1)

 魅力的な新製品開発のためには、お客様の潜在ニーズを探り、企業のシーズ(強み)とバランスさせながら“すり合わせ”をすることが求めら...

 魅力的な新製品開発のためには、お客様の潜在ニーズを探り、企業のシーズ(強み)とバランスさせながら“すり合わせ”をすることが求めら...


市場の要求に応える製品企画

1.製品企画の本質  以前お話したマーケティングは「商品の販売やサービスなどを促進するための活動」であり、その要素は4つのP(Product製品、P...

1.製品企画の本質  以前お話したマーケティングは「商品の販売やサービスなどを促進するための活動」であり、その要素は4つのP(Product製品、P...


全体最適を実現するQFD QFDを考える(その4)

1.「鳥の目」と「虫の目」とQFD  「鳥の目」は、 鳥が高い場所から広い範囲を見渡す目で、「俯瞰」とか「鳥瞰」ともいわれています。それに対して「虫の目...

1.「鳥の目」と「虫の目」とQFD  「鳥の目」は、 鳥が高い場所から広い範囲を見渡す目で、「俯瞰」とか「鳥瞰」ともいわれています。それに対して「虫の目...


「品質機能展開(品質表)」の活用事例

もっと見る
TOTOのオゾン発生装置の機能性評価事例

 これは、第20回品質工学研究発表大会で、TOTO(株)の林謙吾さんが発表した「オゾン発生装置の機能性評価方法の検討」を要約したものです。 ◆関連解説『...

 これは、第20回品質工学研究発表大会で、TOTO(株)の林謙吾さんが発表した「オゾン発生装置の機能性評価方法の検討」を要約したものです。 ◆関連解説『...


科学的手法(TRIZ,QFD,タグチメソッド)の社内展開:オリンパスの事例

 2011年のTRIZシンポジウムでオリンパス株式会社の緒方隆司さんが発表し、参加者投票 「私にとって最もよかった発表」で表彰された、「TRIZを含む科学...

 2011年のTRIZシンポジウムでオリンパス株式会社の緒方隆司さんが発表し、参加者投票 「私にとって最もよかった発表」で表彰された、「TRIZを含む科学...


マスターと差分によるQFDのファイル管理とは

   今回、事例として挙げる問題点は、次のようなことです。   QFDの作成が担当者に委ねられている そのためQFDの項目...

   今回、事例として挙げる問題点は、次のようなことです。   QFDの作成が担当者に委ねられている そのためQFDの項目...