“理解したつもり”から“理解した”へ

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1. 掘り下げて理解す...

1. 掘り下げて理解すること

 
 「『本質を理解すること』がわかりやすく伝えることの基本」の記事の中で以下のことを書きました。
 
 “伝えるべき内容を書き手が掘り下げて理解していることでわかりやすい文書を書くことができる”
 
 また、同じ記事の中で、「伝える力(池上彰著):PHP研究所」から以下の内容を引用しました。
 
 “「伝える」ために大事なこと。それはまず、自分自身がしっかり理解することです。自分がわかっていないと、相手に伝わるはずがないからです”
 
 今回の記事では、「書き手が掘り下げて理解すること(自分自身がしっかり理解すること)でわかりやすい文書が書ける」について“掘り下げて”解説します。
 

2.“理解したつもり”から“理解した”へ

 “理解したつもり”とは、「自分では理解した」と思っていても実は「理解したつもりだった」ということです。伝えるべき内容が“理解した”になることでわかりやすい文書を書くことができます。“理解したつもり”では、わかりやすい文書を書くことができません。
 
 例えば、住宅を造る様々な工法を紹介する本に、「〇〇工法は木造住宅だけに適用できる」のような〇〇工法の特徴が書いてあったとします。これを読んだとき、「なるほど、〇〇工法とはそのような特徴を持った工法か」と理解した人(Aさんとします)がいたとします。このとき、Aさんは、自分では「〇〇工法の特徴が理解できた」と認識するでしょう。ところで、Aさんは本当に〇〇工法の特徴を理解したのでしょうか?
 
 答えは、“NO”です。
 
 Aさんが、他の人(Bさんとします)に「〇〇工法は木造住宅だけに適用できる」と〇〇工法の特徴を説明したとします。そのとき、BさんがAさんに、「〇〇工法は、なぜ、木造住宅だけに適用できるのですか?」、「〇〇工法は、なぜ、鉄筋コンクリート造住宅には適用できないのですか?」という質問をしたとします。
 
 Aさんはこの質問に回答できるでしょうか?
 
 答えは、“NO”です。
 
 Aさんは、「〇〇工法は木造住宅だけに適用できる」とだけ〇〇工法の特徴を理解しています。〇〇工法の特徴について掘り下げて理解していません。そのため、Bさんの質問には回答できません。すなわち、Aさんは、〇〇工法の特徴について“理解したつもり”でした。
 
人的資源マネジメント
 
 Aさんが、“理解したつもり”の状態で報告書の中に○○工法の特徴について書いたらどうなるでしょうか。つまり、「〇〇工法の特徴は木造住宅だけに適用できることです」とだけ書いたらどうなるでしょうか。
 
 読み手の中には、「〇〇工法は、なぜ、木造住宅だけに適用できるのか?」のような疑問を持つ人がいるかもしれません。しかし、報告書には、木造住宅だけに適用できる根拠が書いてありません。これでは、この読み手に○○工法の特徴が明確に伝わりません。
 
 「〇〇工法が木造住宅だけに適用できる根拠」や「〇〇工法が鉄筋コンクリート造住宅に適用できない根拠」などを書くことで読み手に〇〇工法の特徴が明確に伝わります。また、これらの根拠を書けば、読み手は「この報告書はわかりやすい」という評価をすると思います。これは、自分が読み手の立場に立ってこの報告書を読んだことを考えればわかると思います。
 

3. “理解したつもり”から“理解した”へ変える方法

 “理解したつもり”を“理解した”に変えるための一つの方法を解説します。その方法とは、「なぜだろう?」と掘り下げて考えその答えを考えたり調べたりすることです。これで、“理解したつもり”が“理解した”に変わります。
 
人的資源マネジメント
 
 先ほどの例でこれを解説します。住宅を造る様々な工法を紹介する本から○○工法の特徴について「〇〇工法は木造住宅だけに適用できる」と学んだら、「〇〇工法は、なぜ、木造住宅だけに適用できるのだろう?」、「〇〇工法は、なぜ、鉄筋コンクリート造住宅には適用できないのだろう?」と掘り下げて考えてください。これらの答えを考えたり調べたりすることで〇〇工法の特徴に対して“理解した”になります。
 
 「『なぜだろう?』と考えること」とは「掘り下げて考えること」です。掘り下げて考えることで“理解したつもり”が“理解した”に変わります。“理解した”とは“掘り下げて理解した”という意味です。
 
 「△△は当たり前だ」のように思っていることに関して、一度、「△△なのは、なぜだろう?」と掘り下げて考えてください。「アレッ? わからないぞ」ということが出てくるかもしれません。そのようなことは、“理解したつもり”です。“理解したつもり”があればそれを“理解した”に変えてください。
 
 繰り返しになりますが、“伝えるべき内容を書き手が掘り下げて理解していることでわかりやすい文書を書くことができる”の内容を再度認識してください。 
 
【参考文献】
森谷仁著、「技術者のためのわかりやすい文書の書き方」、オーム社、平成27年3月20日
  

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