静電気事故防止事例: 作業台はアースをしましょう
♦ ビスから放電 ~ 静電気対策の基本はアース
ちょっとの工夫で快適な作業空間に
ある会社さんの作業台で静電気の電撃を感じました。おやっと思いました。作業台の天端(写真㊦)は木製のパネル、フレームはスチール製、床はコンクリート、私は静電気防止の安全靴を履いていました。すべて導体ですので、通常ですと電撃を感じるはずはないのですが…。電撃は木製パネルとフレームを止めているビスからきました。
作業台にはキャスター(同)が付いていました。これがおそらく不導体で、作業台は浮いた導体(浮遊導体)になっていたのでしょう。作業台で起きた静電気が逃げ場を失い、ビスから私に向かって放電したのですね。
この作業台ではプラスチックの板を加工し、それを作業台の上でスライドさせて(滑らせて)次のオペレータさんに渡すという工程でした。女性従業員に「お仕事してて静電気起きませんか?」と聞くと嫌そうな顔をして「すごく起きる」と返ってきました。従業員さんは気付いていたのでしょうが仕方ないことだと思っていたのでしょう。
図1.対策前の作業台と作業の流れ
単純に作業台がアースがされていないのですね。導体の静電気対策の基本はアースです。早速作業台にチェーンを付けました。
図.2 アースを取り付けた放電対策
アースは恒久的な対策が必要です。したりしなかったり、邪魔だと外されたりするような対策はNGです。ちょっと重いチェーン(写真㊦)を採用しました。重力でしっかり床とアースされます。
折角なのでメガーで効果測定(同)をしてみました(ちなみに私の手ではありません。社長さんを呼び測っていただきました)。
チェーンを付けた時の抵抗は0.4MΩ(導通しています)。
チェーンを付けていない時の抵抗2000MΩ以上(導通していません)。導体の静電気対策はアースが基本です。静電気は冬だけの問題ではありません。この会社さんは可燃性の危険物の取扱いはなかったのですが、静電気の電撃は嫌ですよね。もし、これが化学工場だったら大変な事故になっていました。この程度の工夫で明日から快適な作業空間になります。
【出典】一代技術士事務所 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載
続きを読むには・・・
「安全工学一般」の他のキーワード解説記事
もっと見る不具合事例から知る製品安全の基礎知識
1.設計者に必要な重要スキル:製品安全 製品安全に関わる不具合を市場に流出させてしまうと、企業の経営を揺るがす事態にもなりかねません。したがって、...
1.設計者に必要な重要スキル:製品安全 製品安全に関わる不具合を市場に流出させてしまうと、企業の経営を揺るがす事態にもなりかねません。したがって、...
リスクアセスメントの必要性 リスクアセスメント(その1)
安全工学では、製品が「安全」(=許容不可能なリスクがないこと)であるかどうかを事前に評価するプロセスがリスクアセスメントです。製品事故を起こす前に対策を...
安全工学では、製品が「安全」(=許容不可能なリスクがないこと)であるかどうかを事前に評価するプロセスがリスクアセスメントです。製品事故を起こす前に対策を...
最終回 機能安全(その5)
【安全設計手法 連載目次】 1. 機能安全(その1)機能安全とは何か 2. 機能安全(その2)日本における安全設計 3. 機能安...
【安全設計手法 連載目次】 1. 機能安全(その1)機能安全とは何か 2. 機能安全(その2)日本における安全設計 3. 機能安...
「安全工学一般」の活用事例
もっと見る静電気事故に学ぶリスクコミュニケーション
♦リスクコミュニケーションの目的と必要性 化学工場の事故の大半は静電気爆発・静電気着火によるものです。各社静電気事故防...
♦リスクコミュニケーションの目的と必要性 化学工場の事故の大半は静電気爆発・静電気着火によるものです。各社静電気事故防...
製品安全で急浮上の課題『サイレントチェンジ』の事例
◆ サイレントチェンジ多発の背景 2017年10月経産省・製品安全課から次のような文章が公開されました。「製造事業者は電気用品安全やRoHS規制等の...
◆ サイレントチェンジ多発の背景 2017年10月経産省・製品安全課から次のような文章が公開されました。「製造事業者は電気用品安全やRoHS規制等の...
プラスチック製品の不具合事例 (その1)
不具合事例を見る前に、設計者が担保すべき製品の安全性について説明したいと思います。製造物責任法においては、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係...
不具合事例を見る前に、設計者が担保すべき製品の安全性について説明したいと思います。製造物責任法においては、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係...












