...
安心在庫の削減 メーカー物流の勘所(その5)

◆ 在庫管理への積極的関与を
在庫はいろいろな活動の結果として顕在化するものです。メーカーの場合は物の買い方や生産の仕方が在庫という結果になって表面化します。一方でメーカー内では「在庫はすべての問題点を隠してしまう困りもの」であるという認識があります。それはどういうことでしょうか。今回は、これを例を挙げて考えていきましょう。
ある会社で出荷量の5日分相当の在庫を持っていました。本来であれば前日に入ったオーダーを当日に作り、翌日に納入するので納入リードタイムは受注から2日ということになります。これだけの体力のある会社なのになぜ5日分もの在庫を持たなければならないのでしょうか。これを調べていくと次のようなことがわかりました。
過去に一度だけ特定の設備が故障し、3日間停止したことがあったとのことです。最近ではチョコ停はあるものの、これほどまでのドカ停は発生していません。この在庫は工場の保全部門の要請で保有していたことが分かったのです。5日分もの在庫があれば場所も容器も管理も発生し、それが工場コストとして収益を圧迫することになっています。そこで工場長の指示でこの在庫をいったん凍結することにしました。
ロープで在庫を囲い、動かすことを禁じたのです。しばらくの間、その在庫に手を付ける必要がなければ削減してしまおうと考えたわけです。結果的に5日分の在庫は保全担当者の安心在庫だということがわかり、それを削減することになったわけですが、一方で安心在庫を削られた形となった保全部門には緊張感が生じたのです。
今まで以上に予防保全をきっちりと行うことで、ドカ停につながるようなトラブルを防ごうという活動が安心在庫の削減で始まったのです。
いかがでしょうか。この工場では、在庫があるために、保全部門が予防保全という重要な活動に真剣に取り組んでこなかったという問題点が隠されていたのです。実はメーカーではこういった事象がいくつも在庫によって見えなくなっていると考え、在庫削減活動に取り組んでいるのです。
次回に続きます。
続きを読むには・・・
この連載の他の記事
「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事
もっと見るサプライチェーンマネジメントにおける自律分散と情報共有のインサイト
組織のマネジメントを「意思決定は自律分散的か中央集権的か」と、「情報の共有化がなされているか否か」との2つの視点によって分類してみましょう。 近代経...
組織のマネジメントを「意思決定は自律分散的か中央集権的か」と、「情報の共有化がなされているか否か」との2つの視点によって分類してみましょう。 近代経...
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その1)
第1回 日本流物流はグローバルスタンダードにあらず ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地に持って行くべき「物流指導...
第1回 日本流物流はグローバルスタンダードにあらず ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地に持って行くべき「物流指導...
第3のSCM: 社会変革共創を前提とした唯一の戦略
1. 既存と異なるSCMを考える 前回の「第3のSCM: 複雑系・安定・利益」では、需要か制約と同期させる既存以外のSCM...
1. 既存と異なるSCMを考える 前回の「第3のSCM: 複雑系・安定・利益」では、需要か制約と同期させる既存以外のSCM...
「サプライチェーンマネジメント」の活用事例
もっと見る空き時間と仕事:物流収支を知る(その3)
◆空き時間も有効に活用する 物流現場を預かる監督者であれば、今の物流の状態が良いのか悪いのかについて判断できなければなりません。常に...
◆空き時間も有効に活用する 物流現場を預かる監督者であれば、今の物流の状態が良いのか悪いのかについて判断できなければなりません。常に...
購買部門と物流部門との関係とは
1. 購入費低減と物流改善 会社の中には多くの部門があります。会社の規模が大きくなればなるほど部門が増え、部門間の壁も厚くなりがちです。すべ...
1. 購入費低減と物流改善 会社の中には多くの部門があります。会社の規模が大きくなればなるほど部門が増え、部門間の壁も厚くなりがちです。すべ...
流通加工に積極的に取り組む 物流倉庫業務(その2)
1. 再製品化業務 通信販売で返品された商品を再製品化する業務があります。もちろんそれが可能な場合に限られます。例えば、一般的...
1. 再製品化業務 通信販売で返品された商品を再製品化する業務があります。もちろんそれが可能な場合に限られます。例えば、一般的...





