鉄鋼業と製薬会社のサプライチェーンマネジメント

投稿日

 鉄鋼業や製薬業は、素材から製品までの付加価値が大きく在庫水準が高い業界です。資材・仕掛・製品の棚卸在庫が90日(3ヶ月)から180日(6ヶ月)と長く、ストック型の経営と言えます。設備や人の経営資源が大きく、固定費負担が高い収益構造を持った経営のため、需要不足になると急激に収益が圧迫されることになり...

 鉄鋼業や製薬業は、素材から製品までの付加価値が大きく在庫水準が高い業界です。資材・仕掛・製品の棚卸在庫が90日(3ヶ月)から180日(6ヶ月)と長く、ストック型の経営と言えます。設備や人の経営資源が大きく、固定費負担が高い収益構造を持った経営のため、需要不足になると急激に収益が圧迫されることになります。

 マージンが高くても、生産販売のサプライチェーンを流れる速さが遅ければ、企業が利益を生む速さも遅くなります。販売単価が同じ1000円で、原価とマージンの内訳が次のような製品A、Bがあったとします。

 製品A:原価:400円 マージン:600円
 製品B:原価:700円 マージン:300円(製品Aの半分)

 サプライチェーンを駆け抜けるスピードが製品Aは1日30個で、製品Bは1日90個であったとすると、製品Aは製品Bに比べて速度は3分の1にしかなりません。サプライチェーンが利益を生む速さは製品Aが600円X30個/日=18,000円/日、製品Bが300円X90個/日=27,000円/日となって、時間当りの利益スピードは製品Bが1.5倍となります。鉄鋼会社や製薬会社の収益性の差は回転の速い製品を持っているかどうかの差でもあります。

 この2つの業界で収益を落としている会社は、20世紀後半の工業化時代の研究開発型企業、製品ブランド戦略企業という共通した特徴があります。伝統に裏付けられた高いブランドにたよって大量の見込み生産で成長して来た企業は、サプライチェーンの在庫に焦点を当てたスピード経営への転換が必要です。

   続きを読むには・・・


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その2)

◆「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」    前回は「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」の概要を説明いたしました。今...

◆「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」    前回は「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」の概要を説明いたしました。今...


精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その9)

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...


SCM効率を評価するKPIの新提案 SCM最前線 (その15)

 前回のその14に続いて解説します。   4. 面積原価を導入すると何が変わるか   (1) 資源効率視点での製品の正しい利益...

 前回のその14に続いて解説します。   4. 面積原価を導入すると何が変わるか   (1) 資源効率視点での製品の正しい利益...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流現場から迷いを無くせ

  1. 迷い時間はロスタイム  皆さんが日々仕事をしている中で「迷い」がありませんでしょうか。仕事だけではなく生活まで範囲を広げると迷うことは結...

  1. 迷い時間はロスタイム  皆さんが日々仕事をしている中で「迷い」がありませんでしょうか。仕事だけではなく生活まで範囲を広げると迷うことは結...


調達と商品陳列の同期化 輸送機能の高度化(その3)

        輸送のタイミングで着荷主に何かしらの行動を起こさせる機能は重要です。輸送されてきたものが届けばそこからその荷を建屋内で動かすなどの行...

        輸送のタイミングで着荷主に何かしらの行動を起こさせる機能は重要です。輸送されてきたものが届けばそこからその荷を建屋内で動かすなどの行...


受注と納入 物流リードタイム短縮を考えよう(その1)

  1、受注リードタイムはどれくらいか  物流がコストだけを追求する時代は終わり、現在は『サプライチェーン全体の効率化』が求められていま...

  1、受注リードタイムはどれくらいか  物流がコストだけを追求する時代は終わり、現在は『サプライチェーン全体の効率化』が求められていま...