慢性不良の原因究明と対策とは

更新日

投稿日

 今回は、慢性不良対策の特性要因図による解析を紹介し...
 今回は、慢性不良対策の特性要因図による解析を紹介します。
 

1. 慢性不良とは

 
 慢性的な品質不良は、長期間に渡って発生し続ける不良であり、致命的ではないが、不良として工程内で選別処理されており、大きな問題にはならないがゆえに放置されがちな不良です。ただし、積もり積もって企業にとって多大な損失(品質ロス・コスト)を招いていることが多く、実は経営を圧迫しかねない問題です。
 
 慢性不良は、一般には材料を含む製造上のばらつきがある程度大きく、工程能力が低い状態で発生します。近年の商品開発の短期化、小ロット多品種生産のもとで、設計マージンの十分取られていない製品が量産化され、量産ロットも小さいために、不良対策が後手後手に回ってしまうケースも多くなっています。
 

2. 慢性不良対策の体制

 
 慢性不良を解決するには、一担当技術者の範囲では難しく、全社ぐるみのプロジェクトを組んで解決に当たらなければなりません。慢性不良がなくならない理由の1つとして、小集団活動や技術者個人の取り組みは限界に来ていることを示しています。しかしながら、しっかりしたプロジェクト体制を構築して組織一丸となって慢性不良に取り組むからには失敗は許されないことを肝に銘ずることが必要です。というのも、それには設備の見直しや工程の大幅改善などが伴う場合も多く、改善後の一時的な効率低下や、費用面での負担も伴うからです。
 

3. 慢性不良の原因解析

 
 慢性不良を解析する上では、不良の状態を詳細に分析することがとても重要になります。三現主義で、不良が発生している現場を捉えることです。犯罪で刑事が現場を調べたり聞き込みで事実を掴むのと同様に、科学的・論理的に何が起こっているかを詳細に調べます。その方面の固有技術に詳しいメンバー主体で原因調査を進めることになります。その方法は、リアルタイムに不良が発生している状況を見る、そのほか、不良品の断面を見る、顕微鏡で拡大して見る、不良部の成分を測定するなどの方法で正しく実態を掴みます。
 
 例えば、傷の不良に悩んでいたとします。打痕、ひっかき傷、こすれなど、現象を細分化しなければならないのに、一口に傷と不良項目をまとめていることで、本当の問題が隠れてしまいます。
 慢性不良
 ・傷の状況を拡大してみる(10倍~20倍)
 ・傷の箇所に付着物が無いかどうか見る
 
 まずは不良の現物を自身の目でしっかり見てほしいのです。現象をきちんと把握できれば、それが慢性不良を解決する糸口になります。どうしても、不良発生の事実が掴みづらく見つからない場合は、原因を推定しその原因を引き起こす要因について、発生確率の高いものから対策を打つことになります。例えば、どの工程で傷がつくかわからないと言った場合、各工程ごとに考えられる要因を列挙して、一つ一つ対策してつぶし込みを行います。
 

4. 特性要因図による原因の推定

 
 特性要因図は、不良の事象を頭にして4Mに分類した要因を列挙し、それぞれの要因ごとに実際の現場を確認したり、データを取って要因を絞り込み、原因を特定します。これと類似した解析方法としてFTA(故障の木解析)があります。FTAは、予防しなければならない事象について、その発生確率を予測する場合使用します。その追跡の過程で、発生要因事象についての想定外をなくす工夫をしなければなりません。例えば、すべての工程に関する作業を明らかにして、4Mで分類します。
 
 前述の傷の場合、設備・治具、人、作業方法材料に分類し、傷の発生する要因を洗い出します。発生確率が低いと思われる項目は優先度を下げ確率の高いと思われる項目から対策を打って結果を判定します。慢性不良としてすでに傷の発生が認められている場合は、特性要因図で解析し傷の発生を予防するのであれば、FTAによって発生確率を予測します。是正処置と予防処置、また事実に基づくのか、それとも推測データに基づくのかの違いが両者にあります。
 

5. 慢性不良の対策

 
 対策を打つ前に試行し、効果を確認します。ある期間の試行で効果がありそうだと判断した場合は、プロジェクトとして最終決定し、工程の変更、設備の導入に踏み切ります。もちろん、本格対策後も不良データーの監視は続けることになります。この慢性不良対策は結構、体力を要します。中小企業では、スタッフの数も限られており、日常業務の合間に、プロジェクトとしての役割も担う必要もあるため負担も大きくなります。プロジェクトには、外部から専門家を招く事も一つの方法です。
 
 

   続きを読むには・・・


「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
新しい時代のQCサークル活動の提案

 最近、企業ぐるみのデーターねつ造・改ざんの問題が大きく報道されています。実は、QCサークル活動でも一部の企業で、体裁を重視した発表用のQCストーリー作り...

 最近、企業ぐるみのデーターねつ造・改ざんの問題が大きく報道されています。実は、QCサークル活動でも一部の企業で、体裁を重視した発表用のQCストーリー作り...


品質保証度評価法とは(4) 【快年童子の豆鉄砲】(その31)

  ◆品質保証度(QAL)評価法の効用について 次弾以降、QAL評価法の詳細をご説明しますが、採用するお気持ちの無い方には不要な情報にな...

  ◆品質保証度(QAL)評価法の効用について 次弾以降、QAL評価法の詳細をご説明しますが、採用するお気持ちの無い方には不要な情報にな...


不良の再発とは

 ヒューマンエラーをはじめ、工程で発生する不良は、対策したと思ってもまた再発することがあります。再発する不良は、同じ製品、同じ工程、同じ作業者の場合もあれ...

 ヒューマンエラーをはじめ、工程で発生する不良は、対策したと思ってもまた再発することがあります。再発する不良は、同じ製品、同じ工程、同じ作業者の場合もあれ...


「品質マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
掃除のおばさんの持つ貴重な情報

 私が昔半導体の工場でクリーン化を担当していた頃の話です。頻繁に現場に入っていましたので、時間によってはクリーン廊下で掃除をしているおばさんに会うことも度...

 私が昔半導体の工場でクリーン化を担当していた頃の話です。頻繁に現場に入っていましたので、時間によってはクリーン廊下で掃除をしているおばさんに会うことも度...


全数検査を解除するには

   今回は、次のような自動車部品の量産工場が親会社に全数検査解除の要求をするのにどういった内容の報告をすれば納得が得られるかを考えます。 ...

   今回は、次のような自動車部品の量産工場が親会社に全数検査解除の要求をするのにどういった内容の報告をすれば納得が得られるかを考えます。 ...


静電シートとは

◆  静電シートとは  人体と電子機器など帯電した物体同士が接触すると、静電気の放電が発生します。この現象を「ESD:Electro-Stat...

◆  静電シートとは  人体と電子機器など帯電した物体同士が接触すると、静電気の放電が発生します。この現象を「ESD:Electro-Stat...