1.離職率
今回から、表2-1にある「喫緊の課題」の9番目「離職率が高い」についてのご説明に入ります。
表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要
この「離職率が高い」は、折角の縁があって入社した社員が、短期間で離職するという中小企業にとっては深刻極まりない課題なのですが、その背景には、数えきれない要因が存在し、最も難しい経営課題ではないかと思います。ここでは、その数えきれない要因のうち、普遍的で重要と思われる4つを取り上げているのですが、そのそれぞれの要因解決に対する的確な対処方法が、世の中に見当たりませんので、悪戦苦闘の末行き着いた筆者なりの結論をご紹介いたしますので参考にして頂ければと思います。その最初の要因「適材適所配属がうまく行かない」に対する解決手段として「マトリックス・データ(MD)解析法」を使った「適材適所配属法」(⑪)を2つの事例を通してご紹介させて頂きたいと思います。
最初の事例は、現役時代、従来の配属決定プロセスが通用しなくなり、困り抜いて行き着いた「MD解析法」での成功事例です。もう1つは、退職後品質経営のお手伝いをした中小企業での事例で「適材適所配属法」と言う命名はこの会社によるもので、解析対象のデータがカバーする範囲が、より大きく、上の事例より実用範囲が広いので参考にして頂けると思います。
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2.適材適所配属のためのMD解析法の使い方
1)問題発生
重要保安部品の製造を担当する6つの係からなる課に、毎年20人前後の新入社員が配属されるのですが、課としては、ミスが顧客クレームに直結する可能性の高い組立係を優先し、人事課から与えられる10項目(当時の労働省編「職業適性検査結果」9項目と工場独自の筆記試験結果)の各人の数値と、それを基に課のベテラン係長が実施する面接結果をもとに、組立係への配属を行なっていたのですが、ある年の配属後1ヶ月たったところで、組立係長から、配属を受けた6人のうち、3人は手に負えないとのクレームが来たのです。
対処としては、係内で工夫をしてもらうことにしたのですが、このことは、新入社員の質の変化により、従来の配属方法が通用しなくなったことを意味しており、新しい配属先決定方法の開発を迫られたのです。
2)マトリックス・データ(MD)解析法の採用理由
そこで、改めて、人事課から与えられる10項目の各人の数値を見たところ「職業適性検査結果」は各個人について詳しく分析された上で、一般的な適正業務も提示されており、各個人についての情報内容としては十分と言えるのですが、いざ配属先に相応しい人間を選ぼうとすると、新入社員全体の中での個人の位置付けがあちらを立てればこちらが立たずで掴みどころがなく、配属先判断材料としての的確な使い方が見当たらなかったのです。
ただ、20人に対する10のデータの表を見ていて、折角これだけ緻密な数値データを手に入れているのだから、何とか数値解析による解決策はないものかと考えて思い付いたのが、新QC七つ道具にある「マトリックス・データ(MD)解析法」だったのです。
と言いますのは、このMD解析法は、多変量解析の「主成分分析」そのもので「多種多様の特性からなる複雑な事象がある場合、これらの事象に対応して測定された多変数の相互関連を分析活用し、相互に独立した少数の総合的特性値(主成...



