【曲げ弾性率・ヤング率】プラスチックの強度設計とは?-ものづくりドットコム
更新日 2023-08-10
投稿日 2018-03-23
【曲げ弾性率・ヤング率】プラスチックの強度設計とは?
【目次】
1. 引張特性の規格、曲げ特性の規格
(1)引張特性の規格、曲げ特性の規格
(2)ヤング率
(3)材料の強さ
2. 引張特性と曲げ特性の測定方法
(1)引張特性と曲げ特性の測定方法
(2)強度設計における注意点
1. 引張特性の規格、曲げ特性の規格
(1)引張特性の規格、曲げ特性の規格
合成樹脂、汎用プラスチック製品の強度設計をする上で、ヤング率(縦弾性係数)と材料の強さを詳細に確認することは欠かせない作業です。材料力学的にプラスチックの物性表を見てみると、ヤング率と材料の強さを示す項目に、引張試験で測定したものと、曲げ試験で測定したものがあることに気づくでしょう。強度設計解析を行う際に、どちらの値を使えばよいでしょうか。今回は引張特性の規格であるJIS K7161-1、曲げ特性の規格であるJIS K7171に基づき、両特性の概要と強度設計における注意点について解説します。
(2)ヤング率
材料の変形のしにくさを示す物性値がヤング率です。材料が弾性変形をする場合、応力とひずみは比例関係となり、ヤング率はその直線の傾きを表します(フックの法則)(図1)。

図1. フックの法則とヤング率
プラスチックの物性表では、ヤング率あるいは縦弾性係数という言葉を見かけることは少ないのです。代わりに使われるのが引張弾性率または曲げ弾性率です(図2)。

図2. 物性表における引張弾性率と曲げ弾性率(出所:デンカ 「デンカABS 一般物性表」)
引張試験で測定したヤング率が引張弾性率、曲げ試験で測定したヤング率が曲げ弾性率です。両者の違いについては後述します。
(3)材料の強さ
弾性材料の場合、応力とひずみの関係は図1のように直線状になりますが、実際には材料の種類や測定条件によって様々な曲線を描きます。応力とひずみの関係をグラフ上にプロットしたものを応力-ひずみ曲線(S-S曲線)と呼び、材料の特性を示すために用いられます。材料の強さは応力-ひずみ曲線を使って定義されています。

図3. 応力-ひずみ曲線と材料の強さ
応力が増えずにひずみが増える最初の部分(曲線の凸部分)を降伏点、その時の応力を降伏応力といいます。また、材料が破断、せん断する時の応力は破壊応力です。材料によって降伏点が現れるものと現れないものがあり、降伏点が現れるものは降伏応力を、降伏点が現れないものは破壊応力を材料の強さとすることが多いのです。プラスチックの強さを表す用語はJISで表1のように定義されています。
表1. JISにおけるプラスチック材料の強さを示す用語

表1の定義は少し分かりにくいところもありますが、一般に以下のようにいえます。
【引張特性】
降伏点あり → 引張強さ=引張降伏応力
降伏点なし → 引張強さ=引張破壊応力
【曲げ特性】
降伏点あり → 曲げ強さ=降伏応力(※JIS K7171に「曲げ降伏応力」という用語の定義はない)
降伏点なし → 曲げ強さ=曲げ破壊応力
プラスチックの物性表では、材料の特性などに合わせて、表1のいずれかの強さが示されます。図4では「引張降伏応力」、「引張破壊応力」、「曲げ強さ」が使われています。

図4. プラスチック材料の強さ(出所:デンカ 「デンカABS 一般物性表」)
2. 引張特性と曲げ特性の測定方法
最初に粘弾性特性についてです。これは粘性と弾性の2つを合わせ持っている性質のことです。ハチミツを泡立て器でかき混ぜようとすると強い抵抗を感じます。一方、容器を斜めにして放置しておくと時間をかけて流動していきます。そのような性質が粘性です。弾性はバネをイメージすれば分かりやすいでしょう。引っ張るとその力に応じて伸び、手を離すと元に戻ります。素早く引っ張っても、ゆっくり引っ張っても違いはありません。そのような性質が弾性です。プラスチックだけでなく、金属や木材など多くの材料が粘弾性特性を持っていますが、室温程度の低い温度でもその特性が顕著に表れることがプラスチックの大きな特徴です。では、引張特性と曲げ特性の測定方法について解説します。
(1)引張特性と曲げ特性の測定方法
【引張特性】
図5. 引張特性の測定と算出【曲げ特性】
図6. 曲げ特性の測定と算出(2)強度設計における注意点
<JIS K7171>
図7. 曲げ試験において試験片に生じる応力
JIS K7171:2016 「プラスチック−曲げ特性の求め方」
本間精一 『プラスチック材料大全』 日刊工業新聞社
有方広洋 『プラスチック成形加工基礎と実務』 日刊工業新聞社
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